主人公はグランサム伯爵クローリー家とそこで働く使用人たち、主演はヒュー・ボネヴィル、監督はサイモン・カーティス、配信元:プライムビデオ
1928年、華やかなダウントン・アビーを舞台に、グランサム伯爵家の人々と使用人たちの物語が再び優雅に幕を開ける。フランスの南仏ヴィラをめぐる相続話と、屋敷を借り切っての映画撮影という二つの出来事が、静かに交差する。
先代ヴァイオレットの進言により、家族は南仏へ。残された屋敷ではサイレント映画の撮影が始まり、スター女優の気まぐれや、時代が変わりゆく映画界の波が、使用人たちをも巻き込んでゆく。トーキーへの過渡期、貴族と使用人の微妙な距離、恋の予感、そして別れの予感。すべてが、英国貴族社会の黄昏の中で、丁寧に描き出される。
見どころは、何と言っても後半の撮影現場。使用人たちが正装して食堂に並ぶ場面の喜びようは、観る者の胸を温かくする。階級を超えた小さな幸福、言葉を失った後の新たな始まり、そしてそれぞれの人生の選択が、静かに、しかし確かに実を結んでゆく。
監督サイモン・カーティスは、前作の魅力を損なうことなく、物語にほどよい進展を与えた。ヒュー・ボネヴィル演じるロバート伯爵の穏やかな威厳をはじめ、キャスト陣の安定した演技が光る。特に使用人たちの活躍が生き生きとしており、メアリーの機転や、モールズリーの意外な才能の発見など、微笑ましいエピソードが連なる。
古き良き英国の、優雅で秩序ある世界がそこにある。封建の残滓を残しつつも、領主の善政の下で人々がそれぞれの幸福を見出していた時代への、慈しみに満ちたまなざしを感じさせる。現代の混沌を思えば、なおさら懐かしく、切なく映る。
全編を通じて流れる上品さと、キャラクターたちへの深い愛情が、この続編の大きな魅力である。シリーズファンならば必見、初めての人も十分に楽しめる、品格のある一篇と言えよう。完璧を望むならもう一歩の深みも欲しかったが、ファンサービスとしては極めて上質な映画と言える。
評価:★★★★☆(星4.5寄り)
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