主人公はフィニー・ブレイク、主演は メイソン・テムズ、監督はスコット・デリクソン、配信元:プライムビデオ
1978年のコロラド郊外。気弱な少年フィニーは、苛烈な父親と学校のいじめっ子たちに囲まれ、息苦しい日常を送っていた。唯一の理解者だった親友ロビンも、町を騒がす“グラバー”と呼ばれる連続誘拐犯にさらわれてしまう。やがてフィニー自身も地下室に監禁される。そこで待っていたのは、断線したはずの黒い電話だった。
受話器の向こうから、次々と語りかけてくるのは、この部屋で殺された少年たちの声。彼らはそれぞれが試みた脱出の方法を、静かに、しかし切実に伝えてくる。非力な少年が現実的に使える知恵と工夫が、淡々と積み重ねられていく過程が秀逸だ。特にラスト25分からの緊張の漲りは圧巻で、電話を通じて少年が少しずつ強くなっていく様は、ただの脱出劇を超えた静かなカタルシスを生む。
妹グウェンの予知夢や、父親の影など、脇筋も物語に厚みを与えているが、核心はやはり地下室での静と動のコントラストにある。単純明快でありながら、少年のサバイバルとして胸に残る作品だ。観終えた後、ふと「父親はその間、何をしていたのだろう」とつぶやいてしまったのも、作品が投げかける余韻のひとつかもしれない。
全体として、ホラーとドラマのバランスが良く、娯楽として十分に楽しめる。演出の冴えと主演少年の自然な演技が光る一本である。
評価:★★★★☆(4.0/5)
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