主人公は黄徳忠(ホワン・ダージョン)、主演はジャッキーチェン、監督はラリ・ヤン(楊子)、配信元:プライムビデオ
舞台は監視カメラとAI「辣妹」が織りなす2025年のマカオ。資産家・王傑の暗号資産が銀行から盗まれ、続いてJH社への強盗事件が発生する。犯行グループは若手4人組、卓越した変装術と身体能力、ハッキングを駆使して警察の追跡をかわす。事態を重く見た警察は、定年退職した元敏腕刑事・黄徳忠を呼び戻す。こうして「動物園」と名付けられた追跡チームが、街に溶け込みながら包囲網を狭めていく。
物語は決して複雑ではない。巨額の暗号資産を巡る攻防であり、老練な猟師と時代に適応した獲物との静かな対決である。しかしその単純さを、洗練されたアクションと巧みな伏線が豊かに彩る。特筆すべきはラスト25分以降の緊張の持続だ。強盗団のボス・傅隆生(通称「影」)を追い詰める過程で、迷路のような路地とレストランを舞台にしたアクションは圧巻である。ジャッキー・チェンの身体能力は今なお健在であり、銃撃戦、ナイフによる接近戦、卓上の小道具までを活かした動きは、ただ派手なだけでなく、キャラクターの心理を体現している。
若い刑事・何秋果(果果)の捨て身の行動や、黄と傅の偶然の親子演技など、緊張の中に人間味を忍ばせる演出も丁寧だ。監視社会の未来を描きながら、結局は「人」の機転と執念が鍵を握るという、古典的な刑事ドラマの味わいも残している。
見どころはもちろんジャッキーのアクション全般だが、特にウィン・マカオからのパラシュート脱出や、市場から住居特定に至る過程、そしてクライマックスの連続した格闘が秀逸。派手さと地味さのバランスが良く、141分を決して長く感じさせない。
総じて、ジャッキー・チェン晩年の佳作と言って差し支えない。派手な見せ場を求めつつも、老獪さと静けさを併せ持った一作である。アクション・スリラーファンにはもちろん、ジャッキーのファンであれば見逃せない作品だろう。
評価(5点満点)
- アクション演出:★★★★★ 、ストーリー構成:★★★★ 、緊張感・サスペンス:★★★★☆ 、ジャッキー・チェンの存在感:★★★★★ 、全体の完成度:★★★★☆
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