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題名:インビジブル・シングス 未知なる能力 公開:2020年 上映時間:90分 ジャンル:ドラマ 製作国:ドイツ 

主人公は12歳のスザンヌ“スー”、主演はアンナ・シリン・ハベダンク、監督はマルクス・ディートリッヒ、配信元:プライムビデオ

12歳の少女スザンヌ“スー”は、ヒーローコミックに夢中でありながら学校に友人もおらず、音楽家である父の不在と科学研究に没頭する母の間で孤独を抱えていた。ある日、母の研究所に忍び込んだ際、誤って開発中の化学物質《NT26D》を浴びてしまう。翌朝、左腕が消え、感情の高ぶりと共に体全体が透明化する能力を得てしまった。

母の警告を受けつつ、スーは転校生の吃音を持つ優しいトビアス、メカオタクの少女カヤと心を通わせる。やがて母が謎の組織に誘拐されたことを知り、友人と共に真相を探る冒険が始まる。

物語は科学物質による“不可視の力”を軸にしたシンプルな少女成長譚でありながら、中盤から秘密組織の影が忍び寄り、テンポ良く展開する。特にラスト20分以降の展開は、ユーモアと緊張感が心地よく交錯し、微笑ましい余韻を残す。子供向けの軽快さと、大人が楽しめる小粋なひねりが同居したバランスが魅力だ。

主演のアンナ・シリン・ハベダンクは、初々しさと芯の強さを自然に体現し、共演の若手たちとの掛け合いも瑞々しい。監督の演出は派手さを抑え、日常と非日常の境目を丁寧に描いており、90分という上映時間がちょうど良い軽やかさを感じさせる。

ただ、設定の深掘りがやや控えめで、科学的な背景や組織の動機にもう一層の厚みが欲しかった点は惜しまれる。それでも、孤独な少女が能力を通じて絆を紡ぎ、家族を見つめ直す過程は温かく、家族で楽しむにも適した一作と言えよう。透明になるというファンタジーを、ささやかな人間ドラマに落とし込んだ誠実な作品。子供の視点で描かれる「見えないこと」の意味に、静かに胸を打たれる。

評価(5点満点)

・物語の完成度:★★★☆☆、・娯楽性・テンポ:★★★★☆、・演技・キャラクター:★★★★☆、・全体の満足度:★★★★☆

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