主人公はカサンドラ・トーマス(キャシー)、主演はキャリー・マリガン、監督はエメラルド・フェネル、配信元:プライムビデオ
30歳の医学部中退生カサンドラ(キャシー)は、両親と暮らしながらコーヒーショップで働き、夜の街に繰り出す。酔ったふりをして男たちを誘い、レイプ寸前で正気であることを明かし、彼らの醜態を突きつける日々を送る。親友ニーナが学生時代に受けた暴行事件の記憶が、彼女を駆り立てていた。
ある日、かつての同級生で小児外科医のライアン(ボー・バーナム)と再会し、穏やかな交際が始まる。久しぶりの優しさと幸福に心が和らぐのも束の間、事件の当事者たちの名前が聞こえてくると、キャシーの怒りは再燃する。彼女は一人、静かで執拗な復讐の計画を進めていく。
見どころは終盤、特にラスト25分から。華やかな復讐劇から一転、容赦ない現実が襲いかかる展開は息を呑む。キャリー・マリガンの演技は圧巻だ。冷たい微笑みの裏に宿る狂気と哀しみを、微妙な表情の変化で体現している。エメラルド・フェネルの演出も鮮烈で、ポップでスタイリッシュな画面に、痛烈な批評精神を忍ばせている。
ただ、ストーリーそのものは意外に直線的で、復讐譚の枠を超えきれない部分もある。ライアンへの最後のメッセージも、やや唐突に感じられた。とはいえ、#MeToo以降の時代に、これほど鋭く、かつエンターテインメント性高く問いかける作品は稀有だろう。観終わった後の胸のざわめきが、容易に消えない。痛快さと後味の悪さが同居する、近年稀に見る刺激的な一作である。
評価(5段階)
脚本・構成:★★★☆、演技:★★★★★、演出・完成度:★★★★☆、全体満足度:★★★★
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