主人公はライランド・グレース、主演はライアン・ゴズリング、監督はフィル・ロード&クリス・ミラー、配信元:プライムビデオ
太陽を食らう未知の微生物・アストロファージにより、地球は寒冷化の危機に瀕していた。中学校の科学教師だったグレースは、国際プロジェクト「ヘイル・メアリー」の一員として、唯一の希望である恒星・くじら座タウ星へと送り込まれる。片道分の燃料しか積めない自殺的任務。昏睡から醒めた彼は、記憶の欠片を繋ぎながら、孤独な宇宙船内で生き延び、任務を果たそうとする。
やがて出会うのは、異星のメカニック「ロッキー」。岩のような外見と反響定位で世界を知る彼との交流が、物語に温かな血を通わせる。互いの大気では生きられないという制約の中で生まれる信頼と友情は、静かに胸を打つ。科学的事実と想像力が緻密に織り合わされた脚本は、単純に見えて極めて精巧だ。特に終盤30分からの展開は、選択と犠牲、希望の行方が鮮やかに描かれ、観る者の心を強く揺さぶる。
ラスト、異星の友人たちが贈るバイオドームのシーンには、久々に素直な感動を覚えた。孤独と連帯、科学の冷たさと生命の温かさが交錯する結末は、SFの醍醐味を存分に味わわせてくれる。
本作は、硬派な科学描写と人間ドラマのバランスが秀逸。ゴズリングの抑制された演技も光る。宇宙を舞台にした「希望の物語」として、近年稀に見る完成度と言えよう。
評価(5点満点)
脚本・構成:★★★★★、映像・演出:★★★★☆、演技:★★★★★、感動・余韻:★★★★★、総合:★★★★☆(4.5)
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