主人公はマット・ロビンス、主演はニコラス・ケイジ、監督はティム・ブラウン、配信元:ネットフリックス
引退した殺し屋の静かな暮らしが、突然の孫娘の来訪によって崩れ始める。犯罪組織が狙うUSBの行方を巡り、家族を守るために元工作員の技が再び火を噴く。コメディタッチで始まりながら、徐々に容赦ないアクションへとシフトしていく、軽快でありながら骨太な一作だ。
物語は決して複雑ではない。元殺し屋マット(ニコラス・ケイジ)が、娘と孫娘を巻き込んだ脅威に立ち向かう定番の復帰劇である。しかし、そのシンプルさが逆に心地よい。ケイジの軽妙な老獪さと、時折見せる本気の殺気とのバランスが絶妙で、観る者を飽きさせない。特に中盤以降のテンポの良さと、家族を守るための静かな決意が、派手な銃撃戦の中に情感を添えている。
見どころは何と言ってもラスト16分から。ヘクターの屋敷へと単身乗り込み、次々と敵を葬っていくケイジの所作は圧巻だ。派手さの中に職人技のような洗練があり、アクション映画の醍醐味を存分に味わえる。娘アシュリーと孫サラを巡る緊張感も、最後まで上手く機能している。
全体として、ストーリーの意外性は控えめだが、ニコラス・ケイジという唯一無二の個性が全てをまとめ上げる。コメディとアクションの配分も良く、気軽に楽しめるエンターテインメントに仕上がっている。特に、引退後の人生と過去の業を背負う男の姿に、ほのかな哀愁すら感じさせる点が好ましい。丁寧に作り込まれたB級の味わい。夏の夜にビール片手に観るのに最適な一編である。
評価:★★★★☆(アクションの完成度とケイジの存在感で高得点。ただもう少し脚本のひねりが欲しかったところは否めない)
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