主人公はベルナデット・シラク、主演はカトリーヌ・ドヌーヴ、監督はレア・ドムナック、配信元:プライムビデオ
コレーズ県の県議を務めるベルナデット・シラクは、夫ジャック・シラクを大統領の座に押し上げるため陰日向に尽力する。1995年の当選後、エリゼ宮に足を踏み入れた彼女は、ようやく自らの活躍が認められる場を得たと思ったのも束の間、テレビ取材での放言がきっかけとなり、夫や側近、娘クロードからも「時代遅れ」と冷たくあしらわれてしまう。
そこへお目付け役としてベルナール・ニケが派遣され、公式行事からも遠ざけられる日々が続く。夫の浮気や家族の無理解に耐えかねたベルナデットは、ニケの助言を胸に「自分を解放する」ことを決意。慈善活動での存在感を高め、ファッションを大胆にイメチェンジし、若者層にも支持を広げていく。1998年にはヒラリー・クリントンを自らの地盤に招くなど、着実に政治的・世論的な基盤を固めていく。
見どころは終盤、2007年大統領選での一幕だ。ニコラ・サルコジ支持を表明するベルナデットの行動に、ジャックが激怒する場面は、夫婦の長年にわたる力関係を象徴的に描き出しており、痛快ですらある。
カトリーヌ・ドヌーヴの印象は当初やや気になったが、コメディタッチで割り切ればむしろ軽やか。時折挿入される聖歌隊の荘厳な歌声が、シリアスとユーモアの間で絶妙なアクセントとなっている点も面白い。
夫を支え続けた一人の女性が、晩年になってようやく自らの声を獲得していく姿は、痛みと笑いを交えながらも清々しい。フランス政治の裏側を、決して軽薄にならずに描いた佳作と言えよう。
評価(5点満点)
脚本・構成:★★★★☆、ドヌーヴの存在感:★★★★、全体の完成度:★★★★☆、総合:★★★★
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