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題名:プロジェクト・サイレンス 公開:2025年 上映時間:96分 ジャンル:スリラー 製作国:韓国   

主人公はチャ・ジョンウォン、主演はイ・ソンギュン、監督はキム・テゴン、配信元:プライムビデオ

青瓦台安保室の行政官チャ・ジョンウォンは、感情を抑えた冷静沈着な男である。大統領の座を窺う室長・チョン・ヒョンベクの下で職務に邁進する一方、妻を亡くして以来、一人娘ギョンミンを男手一つで育ててきた。留学のため娘を空港へ送るその夜、運命は思わぬ方向へ転がり出す。

仁川国際空港へと通じる空港大橋は、濃霧に包まれていた。ジョンウォンの車が軍用車列とすれ違う瞬間、トレーラーの窓に黒い犬の影が浮かぶ。同じころ、パスポート期限切れで帰国を余儀なくされたプロゴルファー・シム・ユラ姉妹と、認知症の老夫婦を乗せたバスも橋を渡っていた。そこへ、ライブ配信中の危険運転車が引き起こした玉突き事故が重なる。連鎖する衝突と爆発、有毒ガスの発生。橋は崩壊の危機に瀕し、人々は孤立する。

軍が秘密裏に輸送していた実験犬「エコー」が放たれ、事態は一気に悪化する。電波妨害の中、制御不能となった殺人兵器の群れが生存者を襲い始める。ジョンウォンは娘を守り、残された人々とともに崩落寸前の橋からの脱出を図る。室長との連絡、特殊部隊の到着、そしてタンクローリーの爆発危機——シーンは息つく間もなく展開する。

物語自体は単純明快である。空港へ娘を送る途中に巻き込まれた大災厄、という枠組みはわかりやすい。しかし、濃霧に包まれた橋上という閉鎖空間がもたらす圧迫感と、今にも崩れ落ちそうな構造物の描写が、観客の神経を張り詰める。犬たちの襲撃と人間の判断が交錯するテンポの速さも、スリラーとしての要件を十分に満たしている。

特に印象に残るのは終盤、開発責任者が語る真相である。プロジェクトの発端が室長にあると知らされたとき、ジョンウォンの表情に一瞬の動揺が走る。冷静を装ってきた男の内面が、わずかに揺れる瞬間だ。そして何より、エコーの一匹が辛くも生き延びる描写は、単なる恐怖の余韻を超えて、強く続編への期待を掻き立てる。あの黒い影が再び動き出す未来を、密かに、しかし確かに想像させる力がある。

人間の傲慢と技術の暴走、親子の絆、そして危機下で露わになる人間性——題材は決して新しくはない。だが、96分という短い尺のなかで、無駄を削ぎ落とした展開を維持し、緊張感を最後まで持続させた手腕は鮮やかである。派手な仕掛けに頼りすぎず、状況の切迫感を丁寧に積み重ねていく手法に、監督の意図が感じられる。

全体として、娯楽スリラーとして上質に仕上がった一本だ。特にラスト25分過ぎからの展開と、生き残ったエコーが示す余韻は、物語の核心に触れる味わいがあり、続編の可能性を強く印象づける。単純な構造を逆手に取り、観客の想像を先へ誘う余白を残した点を高く評価したい。

評価:★★★★☆(4/5)

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