主人公はアリス、主演はフローラン・ドリン、監督はフランソワ・デスクラック、配信元:プライムビデオ
2555年、原子力発電所の事故などを契機に終末の危機に瀕した地球。人類を救うべく、一人の未来人が2022年へタイムトラベルし、ある政治家の原発計画への署名を阻止しようとする。歴史の改変を許さぬ「時間警察」との駆け引きが絡み、時空を超えた孤軍奮闘が繰り広げられる――。主人公はアリスを中心に据え、軽快なコメディの衣をまとったSF活劇である。
物語の骨格はきわめて単純明快で、タイムトラベルものの定番を素直に踏襲している。しかし、シーン展開は意図的にハチャメチャであり、古今のパロディが次々と投入される。監督のウェブシリーズ出身らしい奔放さが、低予算を感じさせつつも独特のリズムを生み出している点が興味深い。特にラスト20分過ぎからの展開は、作品全体のエネルギーが凝縮された見どころで、観客を一気に引き込む力を持っている。
ただ、結末の「何でもあり」感は、やや放縦に過ぎるきらいがある。荒廃したパリに屹立するエッフェル塔の描写も、象徴としては印象的ながら、物語の必然性に疑問を残す。全体として、笑いとパロディを優先するあまり、テーマの深みが薄まった印象は否めない。
フローラン・ドリンの軽やかな演技をはじめ、フランス映画らしい軽妙なテンポは快適で、娯楽として楽しめる作品である。ただし、SFとしての整合性や余韻を求める向きには物足りなさが残ろう。気軽に観るに適した、軽快な一編と言えよう。
評価:★★★☆☆(3/5)
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