主人公はチョン・ヘウン、主演はチョ・ジヌン、監督はイ・ウォンテ、配信元:プライムビデオ
1992年、釜山。長年選挙に挑み続けながら議席を逃し続けた男ヘウン(チョン・ヘウン)は、今回こそ勝つと固く決意する。一方、現職大統領周辺は次の選挙資金を狙い、釜山市の再開発計画を道具に使い、影の支配者スンテを通じて政治を操ろうとする。党の裏切り、無所属での出馬、暴力団の協力、ワイロ、対立陣営との激突──ヘウンは機密文書を武器に選挙戦を駆け抜けるが、圧倒的な力の前に落選を強いられる。
しかし物語はそこで終わらない。ラスト25分から始まる反撃とどんでん返しが、この作品の本領である。法事の席でスンテと対峙するシーンをはじめ、裏切りと復讐が連鎖する政治の暗部が、冷徹に、時に痛烈に描き出される。
ストーリー自体は決して複雑ではない。むしろ一本の筋を力強く突き進む作りが潔い。中盤以降の連続する裏切りには正直驚かされ、韓国政治の泥臭さと人間の業の深さを改めて思い知らされた。ラスト、議員となった男がホテルの窓から青瓦台を望む姿に、重い余韻が残る。あの風景の向こうに、政治に翻弄され命を落とした者たちの無念が、静かに響いているようだった。
見どころはやはりクライマックス。序盤の勢いと中盤の苛烈さを経て、最後の25分で作品の温度が一気に上がる。チョ・ジヌンの存在感も重厚で、脇を固める俳優陣の熱演が光る。単純明快でありながら、韓国社会の闇と人間の欲望を真正面から抉る力作。選挙という名の戦場を冷静に、そして容赦なく見つめた一篇として、記憶に残る作品である。
評価(5点満点)
脚本・構成:★★★★☆、演出・緊張感:★★★★★、演技:★★★★☆、政治描写のリアリティ:★★★★★、総合:★★★★☆
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