主人公はブライアン・ゴドロック、主演はジョエル・キナマン、監督はジョン・ウー、配信元:プライムビデオ
クリスマス・イヴの夜、架空のテキサスの町で、電気技師ブライアン・ゴドロック(ジョエル・キナマン)は幼い息子をギャング抗争の巻き添えで失う。自らも喉を撃ち抜かれ、声を永遠に失った彼は、妻との絆さえ冷え切らせながら、一年かけて復讐の準備を整える。ボディビルに励み、車を改造し、警察無線を傍受し、標的の情報を密かに集める。そして再び訪れたクリスマス・イヴ、彼は寡黙な刃となって敵の巣へ突入する。
荻昌弘の視点で眺めれば、この作品は「沈黙」そのものを主題に据えた復讐劇である。主人公が言葉を発せぬため、台詞は極端に少なく、映画は純粋に視覚と動作で語られる。ジョン・ウーらしい銃撃の舞踏が、特に終盤二十数分で炸裂する。オートバイでアジトに突っ込み、階段を駆け上がりながらショットガンとナイフで敵を次々と仕留めていく一連のシークエンスは、暴力を一種の詩情にまで昇華させようとする監督の執念を感じさせる。爆発、銃撃、肉弾戦がテンポよく連鎖し、観客の息をつかせぬ緊張を維持する。
一方で、復讐に取り憑かれた男の内面は、表情と仕草のみで描かれるため、感情の機微がやや平面的に感じられる場面もある。妻サヤの悲しみや、刑事ヴァッセルとの静かな共闘も、もう少し言葉や視線のやり取りがあれば、人間ドラマとしての厚みが増したかもしれない。クリスマスという祭日を背景に据えた皮肉も、やや表面的に処理されている印象は否めない。
それでも、寡黙な主人公がただひたすらに目的へ向かう姿には、一種のストイックな美がある。セリフに頼らずとも物語を推し進める手法は、アクション映画の可能性を改めて問うものだ。派手なガンアクションを求める観客には充分な満足を与えよう。
評価:★★★★☆(5段階中4)
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