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題名:ヘヴィ・ドライヴ 公開:2019年 上映時間:105分 ジャンル:犯罪ドラマ 製作国:アメリカ  

主人公はオリー・ヘイル、主演はテッサ・トンプソン、監督はニア・ダコスタ、配信元:プライムビデオ

一見して地味な犯罪ドラマである。しかし、その静かな筆致のうちに、現代アメリカの底辺に生きる人々の苦闘を、まことに真摯に描き出している。

主人公オリー・ヘイル(テッサ・トンプソン)は、処方薬の違法販売で捕らわれ、保護観察の最終段階にある。社会復帰を目前に、彼女は妹デブの窮地を知る。シングルマザーであるデブは妊娠し、差し押さえ寸前の家を抱え、合法的な中絶すらままならぬ状況に追い込まれている。オリーは過去の闇に再び手を伸ばし、国境を越える密輸の危険を冒してでも、妹を守ろうとする。

筋立て自体は単純明快である。善悪の劇的対立や派手なアクションを期待すれば、あるいは肩透かしを食らうかもしれない。しかし、監督はそうした外向的な刺激を意図的に排し、緩やかな時間の流れのなかで、二人の姉妹が交わすささやかな会話や、日常の細やかな動作を丹念に積み重ねていく。保護観察官の監視、土地の麻薬密売人との軋轢、医療制度の隙間――それらが静かに、しかし確実に彼女たちの選択を狭めていく過程は、観る者の胸にじわりと緊張を強いる。

とりわけ後半、国境を越える決断に至るあたりから、物語は静かな高まりを見せる。オリーが妹のために再び闇に足を踏み入れる姿には、単なる犯罪劇を超えた、血縁の情と生存の意志が滲み出ている。テッサ・トンプソンの抑制された演技は、その内面の葛藤を巧みに伝え、映画全体に一種の詩的な緊張感を与えている。

私は、この作品が現代アメリカの一端――貧困と医療格差、制度の隙間に生きる人々の現実――を、過度の煽情に堕することなく、冷静に映し出している点を高く評価したい。華やかさはない。だが、人間が生きるためのぎりぎりの選択を、誠実に見つめようとする姿勢は、たしかに心に残る。

評価:★★★★(5段階中4)

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