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題名:LOOP/ループ -時に囚われた男- 公開:2016年 上映時間:95分 ジャンル:サスペンス・アクション 製作国:ハンガリー 

主人公はアダム、主演はディネーシュ・サラーズ、監督はイシュティ・マダラーズ、配信元:プライムビデオ

麻薬の密売で日々を送る青年アダム(ディネーシュ・サラーズ)は、恋人アンナの妊娠を知った朝、足を洗うために取引の品と大金を携えて逃亡を企てる。しかし突然消えた彼女を追ううちに、傷だらけのアンナと出会い、「なぜ生きているの? さっき死んだはずなのに」と告げられ、直後に彼女は車に跳ねられて命を落とす。以降、同じような時間が幾度も繰り返される。

物語の骨格自体は、ごく単純明快である。繰り返される死と再生、そしてそこから逃れようとする男の苦闘。にもかかわらず、本作が興味深いのは、「同一時間軸に同一人物は存在し得ない」という、この種の物語がしばしば守ってきた不文律を、あえて踏み越えている点にある。複数のアダムが同じ街に重なり合い、互いに影響を及ぼし合いながら事態を変えてゆく。その発想の奇抜さは、決して凡庸ではない。ビデオテープに映る未来の死、本で急ごしらえした防弾チョッキ、そしてもう一人の自分からの助言――特に終盤二十分ほどに凝縮されたこれらの仕掛けは、観客をぐっと引き込む力を持っている。

もっとも、論理の厳密さを求めるなら、ところどころに無理が生じているのも事実であろう。ラスト近く、電車の中で示される情景は、時間そのものがもう許さない、という静かな諦念のようにも、あるいはまだ終わらぬ循環の暗示のようにも読み取れる。監督マダラーズは、説明を最小限に抑え、映像と沈黙でこの奇妙な運命を描ききろうとした。主演のサラーズも、当初は無気力で頼りない男を、ループを重ねるうちに少しずつ内面を変えてゆく過程を、過不足なく演じている。

安っぽい娯楽に堕さず、しかし過度に晦渋にもならず、ただ「時に囚われた男」の姿を淡々と見つめる。その姿勢に、私は誠実な手触りを感じた。完璧な完成度を求めるには粗もあるが、発想の面白さと終盤の緊張感は、十分に観る者を満足させるだろう。

評価:★★★☆☆(3.5/5)

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