主人公は弁護士リタ・モラ・カストロ、主演はゾーイ・サルダナ、監督はジャック・オーディアール、配信元:プライムビデオ
メキシコシティで辣腕を振るう弁護士リタ・モラ・カストロ(ゾーイ・サルダナ)は、良心に反する弁護で勝訴を収めるも、心に澱を残す日々を送っていた。そんな折、匿名からの怪しい依頼が舞い込む。拉致同然で連れていかれた先で出会ったのは、麻薬カルテルの冷酷なボス、マニタス・デル・モンテ。彼は性別適合手術を受け、女性として全く新しい人生を歩みたいと願い、リタに200万ドルの大金を提示する。
リタは世界各地の医師を当たった末、信頼できる外科医を見つけ、手術と身元偽装を完璧にセッティングする。マニタスの妻ジェシー(セレーナ・ゴメス)と子供たちはスイスへ移され、マニタスは「死」を装い、エミリア・ペレスとして生まれ変わった。4年後、ロンドンで再会したリタは、エミリアの切実な願いを受け、ジェシー母子をメキシコへ呼び戻し、エミリアを遠い親戚として紹介する。やがてエミリアは、自らの過去の罪を省み、行方不明者の家族を探す「マドレス・ブスカドーラ」の活動に触れ、非営利団体「ラ・ルセシータ」を立ち上げ、被害者の遺体を家族へ返す活動を始める。リタはその法的支援を引き受ける。
物語は後半、特にラスト25分から怒涛の展開を迎える。エミリアが突如誘拐され、リタのもとに指の入ったレジ袋が届く。電話越しの指示に従い、リタは仲間を集め、ジェシーとグスタボと共に奪還作戦を指揮する。激しい銃撃戦の中、エミリアはジェシーに自らの正体を告白し、許しを乞う。混乱の果て、車は崖から転落し、炎上する衝撃の結末が待っていた。
ジャック・オーディアール監督が手がけた本作は、ミュージカルとクライムを大胆に融合させた野心的な作品だ。ゾーイ・サルダナのキレのあるメキシコ語ミュージカルシーンは圧巻で、歌い踊る姿に驚かされる。セレーナ・ゴメスも妻役として繊細な感情を添え、物語に深みを加えている。特にラストの告白シーンと崖落ちのダイナミックな描写は、予想外の迫力と余韻を残す。
全体として、罪と贖罪、アイデンティティの変容、家族の絆を、音楽の軽やかさと暴力の重さを交錯させながら描ききった点に感心した。やや強引に感じる部分もあるが、ジャンルの枠を超えた娯楽性とメッセージ性は見事。プライムビデオで配信中の本作は、観る者に強い印象を刻むだろう。
(評価:演技・音楽 ★★★★★ ストーリー ★★★★☆ 全体 ★★★★☆)
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