主人公はサント、主演はアレッサンドロ・ガスマン、監督はコジモ・ゴメス
主演のアレッサンドロ・ガスマンが元マフィアの男サントを演じ、その娘ソフィア役にジネーヴラ・フランチェスコーニ。穏やかな田舎暮らしをしていた父娘の日常が、娘の軽いSNS投稿によって一瞬で崩壊する。過去の因縁から妻と義兄を殺されたサントは、娘を連れてミラノへと逃げ込み、復讐の道を選ぶ。
物語は極めて明快だ。『TAKEN』や『レオン』を思わせる父娘の逃避行と報復劇が、現代的な「SNSが招く身バレ」というきっかけで始まる。イタリア北部ミラノの街並みと、暗く湿った廃墟や地下駐車場が舞台となり、緊迫した空気が途切れない。アクションは派手さより現実味を重視し、銃撃戦よりもナイフ戦や暗闇を利用した接近戦が印象的。特にラスト25分からの車両基地での戦いは、息を呑む密度の高さで、監督の手腕を感じさせる。
注目すべきは、やはり娘ソフィアの存在だ。最初は状況を理解できず父を責め立て、言いつけを破って恋人に連絡してしまう危うい少女。しかし、父の重傷、手紙に綴られた愛情、そして自らナイフを握らされる過程で、彼女は急速に成長する。無垢さと行動力の両方を併せ持つその姿が、単なる「守られる娘」ではなく、復讐に巻き込まれる共犯者として鮮やかに浮かび上がる。ガスマンも渋く寡黙な殺し屋の風格を漂わせながら、娘への深い愛情を静かに滲ませ、好演だ。
確かに筋書きは王道の復讐劇で、目新しさは少ない。だが90分という短い尺の中で、テンポよく進み、無駄を削ぎ落とした展開は潔い。イタリアらしい荒々しさと、家族の絆を軸にした情感がうまく噛み合い、観終えた後には爽快な疲労感が残る。ハードなアクション・サスペンスを求める方には、存分に楽しめる一本と言えよう。
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