主人公は密入国者の陳洛軍(チャン・ロッグワン)、主演はレイモンド・ラム、監督はソ位・チャン
香港アクションの新鮮な一撃である。125分という尺の中で、1980年代の無法地帯・九龍城砦を舞台に、密入国者の青年チャン(レイモンド・ラム)が、追われる身の果てにこの迷宮のような城塞へ逃げ込み、そこで出会う仲間たちと絆を深めていくさまは、懐かしい香港映画の血脈を確かに受け継いでいる。
最初は成長物語かと思いきや、物語は黒社会の抗争へと急速に傾斜する。最大の見せ場はラスト22分を過ぎたあたりから。チャンたち四人が、大ボスの手下ウォンガウ(王九)一味に挑むくだりは、気功を操る敵の異能ぶりが加わり、予想外の展開を見せる。肉弾戦の迫力はもちろん、狭く複雑に絡み合う城塞の構造を活かした立体的なアクション設計が鮮やかで、息をつく暇もない。
監督ソイ・チェンは、往年の香港アクションの熱気を現代の技術で再現しつつ、過剰に振り切った演出で観客を一気に引き込む。サモ・ハン演じるボスまでもが意外な強さを発揮するあたり、サービス精神旺盛だ。友情と信念を軸に据えながら、決して甘くはなく、痛快に叩きつけてくる。
昔の香港映画を愛した者にはたまらない懐かしさと、今だからこそ可能なスケール感が共存する快作。アクションを純粋に楽しみたい向きには、これ以上ない一品といえよう。
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