主人公は脱北者のチ・ドンチョル、主演はコン・ユ
かつて北朝鮮の特殊部隊に所属し、妻と幼い娘を残して脱北したチ・ドンチョル(コン・ユ)。ある日、彼のもとに届いた一通の知らせ──最愛の妻が殺されたという。犯行現場には、ドンチョルの私物が残され、彼自身が容疑者として指名手配されてしまう。国家から見捨てられた男は、たった一人で復讐の銃口を向け始める。
誰かはきっとこう言うだろう。「これはアクション映画の皮を被った、哀切極まりない復讐劇である」と。序盤から容赦ない。車を飛ばし、銃を乱射し、格闘は骨が軋むほど苛烈。まるで怒りが形を取ったような殺戮の連鎖が、次から次へと画面を埋め尽くす。観客は息をつく暇もなく、ただただその凄まじい勢いに呑み込まれる。しかし、本当の見せ場はラスト25分を過ぎてからだ。対北情報局のキム室長(パク・ヒスン)を拉致し、妻を殺した真犯人と対峙する場面から、映画は一気に別の次元へ突入する。銃撃戦、爆破、そして血塗れの肉弾戦。まるで地獄絵図のようなクライマックスは、韓国ノワールの極致と言っていい。
だが、この映画が単なるバイオレンスの饗宴で終わらないのは、最後の最後に待つ一瞬にある。中国東北部の雪深い脱ぎ畑(裸地)。そこに佇む小さな女の子。ドンチョルが「お母さん……」と呟く瞬間、観客の胸は締めつけられる。復讐を果たした男の瞳に浮かぶのは、達成感ではなく、ただただ深い悲しみと、取り戻せなかったものの大きさだけだった。
コン・ユは、静かなる殺意と、壊れそうなほどの優しさを同時に宿した表情で、観る者の心を掴んで離さない。アクションは派手だが、決して派手さだけではない。そこには、失われた家族への想いと、国に裏切られた一人の男の慟哭が、しっかりと刻み込まれている。復讐の果てに待っていたのは救いではなく、ただの空白だった──そんな残酷な真実を見据えた、韓国映画らしい骨太の一本である。
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