映画

ドント・ストップ 2022年公開 84分 ドラマ イタリア・ベルギー ★★★★☆

主人公は救急隊員のイザベル、主演はクロチルド・エム

 ベルギー発の緊迫ドラマ『ドント・ストップ』(原題:The Shift、2020年、監督アレッサンドロ・トンダ、全84分)。主演はクロチルド・エムが演じる救急隊員イザベル。

テロの渦中で、人間性を問う一作である。 

物語は、ブリュッセルの高校でイスラム過激派による無差別テロが発生するところから始まる。自爆テロリストの一人、エデン(アダム・アマラ)が爆発寸前で倒れ、イザベルと相棒のアダモ(アダモ・ディオニシ)が救急車で運ぶ。だが、エデンの衣服の下に自爆ベストが隠されていることが発覚。少年は暴れ、携帯を奪い、イザベルを刺傷。救急車は警察の追跡を逃れ、共犯者ユーセフの待つモレンベーク地区へ向かう。並行して、テロ対策センターのムニエ警視(ヤン・ハメネッカー)が犯行グループの全容を追う。エデンの両親は取り調べを受け、息子の過激化に絶望する。 

前半はテロの即時対応を描き、救急隊のプロフェッショナリズムを克明に。イザベルは息子カリムの安否を気にかけつつ、少年の命を優先する葛藤が胸を打つ。後半、救急車内の攻防は息もつかせぬサスペンス。エデンが祈りを捧げ、うろたえる姿は、洗脳の悲劇を象徴する。見どころはラスト21分。警察の包囲網が迫る中、クレーン車との衝突事故が起き、アダモが命を落とす。爆発は回避されたが、代償はあまりに大きい。 

この映画は、テロの「現場」を冷静に抉る。16歳のエデンが自爆を強いられる背景に、思想の毒と家族の無力さが浮かぶ。世界には多様な宗教・イデオロギーがあるが、少年の未来を犠牲にする「正義」とは何なのか。イザベルは、敵味方を超えた人間性で応じるが、現実はそんなに甘くない。監督は、欧州のテロ体験(2016年ブリュッセル同時多発テロ)を基に、偏見なく描く。救急隊の視点からテロを語る新鮮さは、観る者に深い反省を促す。 

簡潔に言えば、テロは個人の悲劇を生む。思想の名の下に失われる命に、正義などない。ただ、救いの手が差し伸べられる瞬間が、人間性の灯火だ。社会の鏡として、強く推奨する。

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