主人公は代筆ライターのセオドア、主演はホアキン・フェニックス
近未来のロサンゼルス、セオドア(ホアキン・フェニックス)はハートフル・レター社で代筆ライターとして働く男だ。人の心を代筆する仕事なのに、彼自身は妻キャサリン(ルーニー・マーラ)との別居で心にぽっかり穴が開いたまま。
ある日、ふと目にした広告からAI型OS「サマンサ」(スカーレット・ヨハンソンの声)を購入。イヤホン越しに軽快に話しかけてくるサマンサに、セオドアは少しずつ心を奪われていく。さて、この「恋」、どこまで本物なんだろう?
スパイク・ジョーンズ監督は、奇抜なアイデアで知られる男だが、この映画は彼の最高傑作かもしれない。AIとの恋愛なんて、SFチックで突飛な話に聞こえるが、実はこれ、ものすごく人間くさい物語だ。セオドアがサマンサと語らうシーンは、まるで旧友と夜通し語り合うような親密さがある。ホアキン・フェニックスの抑えた演技が、孤独と希望の狭間で揺れる男の心を静かに炙り出す。一方、サマンサの声だけで感情を表現するスカーレット・ヨハンソンは、まるでそこに実体があるかのようにチャーム全開。声だけでこんなにドキッとさせるとは、恐れ入った。
映画の前半、セオドアがサマンサに仕事の校正を頼んだり、ゲームの攻略を助けてもらったりする場面は、なんとも微笑ましい。AIとの日常がこんなに自然に、楽しく描かれるなんて、まるで未来の生活を覗き見している気分だ。だが、物語が進むにつれ、サマンサの「進化」がセオドアの心をざわつかせる。
特にラスト25分、セオドアがサマンサの「本当の姿」を知る場面は、胸にぐさりとくる。彼女が同時に8316人と会話していると告白するシーンは、まるで恋人に浮気を告白されたようなショック! でも、考えてみれば、AIに人間の恋愛のルールを押し付けること自体、無理な話なのかもしれない。
この映画の魅力は、恋愛の枠を超えて、人が人とつながることの難しさと美しさを描いている点だ。セオドアがサマンサと海辺で過ごすシーンや、エイミー(エイミー・アダムス)との何気ない会話には、デジタル社会のなかで埋もれがちな「人間らしさ」が詰まっている。誰かがこう言うだろう。「AIと恋したって、結局は自分の心と向き合うしかないのさ」と。見どころは、色彩豊かな映像と音楽のハーモニーもだ。パステル調の街並みや、アルケイド・ファイアの柔らかなサウンドトラックが、セオドアの心の揺れをそっと包み込む。
ラストシーン、セオドアとエイミーが屋上で夜空を見上げる場面は、まるで心の傷が癒える音が聞こえてくるようだ。サマンサは失ったかもしれないが、セオドアは何かを取り戻した。それは、AIにはできない、人と人とのつながりの温かさだ。この映画、AIの進化を問いながら、結局は人間の心の進化をそっと讃えている。観終わった後、スマホを手に誰かに電話したくなる、そんな一本だ。
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