タイリース・ギブソン演じるシングルファーザーのマーサーを主人公に、緊迫感あふれる物語が展開する。物語は、マーサーが息子のトワンを学校に送り出す朝から始まる。反抗期のトワンは父親との関係に不満を抱き、家を出ていく。
一方、テレビでは警官による過剰暴力事件の裁判が報じられ、街は緊迫した空気に包まれている。そんな中、白人のリッギンとその父親ローウェル、弟デニスは、プルトン・メタル社の工場からプラチナを強奪する計画を立てる。
マーサーは溶接工として働く工場で、裁判の無罪評決がきっかけでデモが暴動に発展したことを知る。工場は安全のため作業を停止し、マーサーは息子トワンの安全を案じ、彼を探しに街へ出る。
一方、リッギン率いる強盗団は暴動の混乱に乗じて工場に侵入。金庫破りに挑むが、警備主任と遭遇し、仲間の一人が主任を射殺してしまう。さらに、警報が鳴り、金庫室のシャッターが閉まりそうになる中、仲間の一人が事故で命を落とす。
物語のクライマックスは、ラスト25分が見どころだ。マーサーはトワンを暴動の混乱の中で見つけ出すが、リッギン達に捕まる。リッギン達は金庫を破り、工場に火を放とうとガソリンを撒く中、トワンを人質にマーサーを脅す。マーサーはリッギンを盾にしながら、息子を救うため命がけの駆け引きを繰り広げる。
本作の魅力は、暴動という社会的な混乱と、マーサーの父親としての葛藤や息子への愛が交錯する点にある。タイリース・ギブソンの熱演が、マーサーの人間味と闘志を際立たせる。特に終盤の緊張感あふれるアクションシーンは、観る者の心を掴んで離さない。暴動の背景や黒人差別のテーマも、物語に深みを与えている。ただし、一部キャラクターの動機が薄く感じられる点は惜しい。
全体として、アクションとドラマがバランスよく融合した作品で、親子の絆や社会問題を考えさせられる一作だ。アクション映画ファンには特にオススメしたい。
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