主人公は記者のホ・ムヒョク、主演は、チョ・ジョンソク
主人公は、惨めな落ちこぼれ記者のホ・ムヒョク。主演はチョ・ジョンソクが、汗だくの無能ぶりを嫌味なく演じきっている。ああ、こんな男が新聞社にうじゃうじゃいるんだから、世の中のニュースが信用できなくなるのも無理はない。
あらすじ こんな茶番を真面目にまとめると、こうなる。夜の街路で、ヘッドライトの光に怯えるアベック(今どきこの言葉かよ)。男が文句を言おうものなら、ナイフでぶっ刺されて即死。女もろとも、闇に消える。いかにも低予算スリラーのお約束だ。一方、ホ・ムヒョクなる記者は、連続殺人事件の発表を待ちわびる車中で居眠り。
目覚めたら、他社に先を越され、なだれ込む記者たちに押し倒される羽目に。なんとか実況中継を撮り、社に戻って朝飯を貪る始末。電話で情報提供の匂いを嗅ぎつけ、「マボ区クス洞143番地」とメモ。
ところが、デスクから「君の記事のせいでスポンサーが逃げた。長期休暇届を出せ」と一喝。頭に血が上り、謝罪と訂正記事を強引に押し通そうとするが、会議室から追い出される。哀れだな、この男は。
妻のスジンは、同僚に「6カ月過ぎてもつわりが続くなら、旦那に頼れ」と諭されるが、「別れると決めたから、頼らない」と吐き捨てる。
夜、泥酔したムヒョクがスジンの家の前で寝そべっていると、彼女は画廊の個展画家に車で送られてくる。離婚届のサインを迫るスジンに、ムヒョクはのらりくらりかわし、尻尾を巻いて自邸に逃げ帰る。夫婦の冷戦なんて、ありふれた悲劇さ。
翌日、就活に奔走するムヒョクだが、どこも門前払い。「スポンサーを怒らせたブラックリスト野郎は無理だ。向いてないなら、商売でも始めろ」と知人に鼻で笑われる。酒に溺れ、ふと思い出したメモの住所へ。ボロアパートでクララなる女が現れ、「電話したのは私よ。あの地下室の男が犯人。血まみれで帰ってきて、翌日TVで事件が……」と囁く。好奇心に駆られ、男の部屋に忍び込むと、壁一面に過去の殺人事件の切り抜き。風呂場で物音にビビり、猫に驚いて血だらけの自分を鏡で見て絶叫。慌てて壁のメモをくすねて逃げ出し、即座に警察に通報。クララには「安心しろ」と捨て台詞を吐いて去る。英雄気取りの小物ぶりが、実にムヒョクらしい。
知り合いの警察オ班長に連絡するが不在。レポートをまとめデスクに送ると、ペク局長らが飛んでくる。「大ネタだ! 情報提供者を連れてこい、チーム編成しろ。明日朝のトップニュース!」と息巻く。
翌朝、TVニュースで容疑者のメモを堂々と公開。社に戻ると電話が鳴り止まず、慌ててスジンに会い、食事に誘い、「また一緒に暮らそう」と懇願。だが、彼女の返事は冷ややか。
一方、警察はTVの暴露に激怒し、情報源の提供を局長らに迫る。ムヒョクはクララを訪ねるが空振り。地下室を覗くと、男が出てくるのを尾行。赤い車を付け、建物の地下へ。ところが、そこは殺人劇を上演する小劇場。男は役者で、ガセネタだったと知り、がっくり。デスクから「カメラ用意したぞ」と電話が来るが、困惑の極み。
待ち合わせの喫茶店にペク局長らが現れ、責められるかと思いきや……「引き抜きの話か? どこの新聞社だ?」とニヤリ。更に取材費の札束を押しつけ、「政治部次長のポスト、年俸アップ、ボーナス増額、同期に使われた分も補償」と甘い餌をちらつける。無理やり封筒を受け取り、携帯を奪われ、追跡動画がTVニュースに流される。メディアの腐臭が、鼻をつく瞬間だ。
警察には、匿名メールで「公開メモは『リャンチェン殺人記』の一節だ」と暴露。メモはフィクション混じりだと発表され、各社がムヒョクの自宅に殺到。
パニックのムヒョクは退職願を叩きつけるが、気を取り直し、新たなメモを偽造。「これ以上捜すな」と殺人予告風に。社に持ち込み、「取材継続は危ない、打ち切ろう」と進言するが、ペク局長は「情報提供者を殺す大胆な発想だ。放送しろ! 脅しに屈さず、自主規制だとTVで言え」と押し切り、再び放送。ムヒョクの放送を観る自分に吐き気。社前に警察が到着し、同時にクララから「会社の入り口に着いた」と電話。
ムヒョクはクララに会い、「お前のせいで捕まる」と詰め寄るが、彼女は「誰も気づいてないわ。3万ドルよこせば黙る」と脅し、去る。刑事たちが会議室に押し入り、「最初から説明しろ。詳細を吐け、公務執行妨害で逮捕だ」と迫る。泥沼の極み。
見どころは、ラスト25分過ぎから。ムヒョクはスジンの行方を追い、犯人のハンが潜む廃小学校へ。ハンはロープで男を吊るし、ムヒョクが止めに入るとナイフで斬りつけ。格闘の末、ハンを倒し、男を蘇生させる。逃げようとするハンに「自首しろ」と叫ぶが、彼はスジンの携帯を振りかざし、「なぜ奥さんをよこした?」と逆襲。殴り合いの末、ナイフで刺し倒す。
フェイクの連鎖が、血塗れの現実を呼び寄せるクライマックス。息もつかせぬ。
感想 小さな嘘が、雪だるま式に膨れ上がり、真実を食い荒らす。いや、真実そのものが嘘に塗り替えられる、この世の恐ろしさ。メディアの連中は、スポンサーの尻尾を振る犬さながら、ガセをトップニュースに仕立て上げ、視聴率の甘い汁を吸う。
記者のムヒョクは、そんな腐った業界の生贄。離婚の危機、失職の恐怖に怯えながら、嘘を重ねる姿は、鏡だ。僕ら全員の鏡。韓国映画のこの一作は、笑えるほど残酷に、ジャーナリズムの病巣を抉り出す。見て損はないが、見たら二度とニュースを信じられなくなるかもな。ふん、それでいい。目覚めの第一歩だ。
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