主人公は建設現場の作業員として働くソジュン、主演はピョン・ヨハン
釜山の港湾建設現場で、粗野な日々を耐え抜く作業員ソジュン。ピョン・ヨハンの寡黙な肉体が、韓国の底辺労働者の息苦しさを体現する。監督チョ・ソクヒョンのこの一作は、振り込み詐欺の連鎖を、息もつかせぬテンポで追う犯罪ドラマだ。声だけが凶器となる現代の闇を、丁寧に抉り出す。
物語は、ソジュンがマンション購入の夢に浮かれ、妻ミヨンに旅行を約束する朝から始まる。通信障害のささやかな予兆が、運命の糸を乱す。現場で同僚を助けようとした矢先、ミヨンは夫の「事故」を告げる偽の弁護士キム・ヒョンスの声に騙され、貯金を全額失う。呆然とする彼女を車が撥ね、意識不明へ。並行して、所長の葬儀で詐欺の噂が広がり、元刑事の過去を抱えるソジュンは、被害者たちの怒りを背負う。事務員の保険詐欺、タトゥーの男を追う街の彷徨い。やがて、中国東北部のコールセンターへ潜入する彼の旅は、詐欺のグローバルな網を暴く。
展開は目まぐるしい。ソジュンが割り出したタトゥー男の足取り、荒野で首まで埋められた女カンチルの救出、偽パスポートでの瀋陽潜入。班長たちの追跡と交錯し、緊張の糸が張り詰める。センターのオペレーターたちは、4人一組でシナリオを読み上げる機械人形。クァックと名乗るキム・ヒョンスの冷徹な視線が、ソジュンを試す。成果給を餌に企画室へ潜り込む彼の策謀は、巧妙だ。
見どころはラスト25分。クァックの「青年就業信託補償基金」なる虚構で、大学合格者から120億を狙う大規模詐欺が炸裂する。ソジュンの電源ショートが引き金となり、崩壊の連鎖。だが、詐欺の声は消えず、終わらない余韻を残す。
当初、単なる振り込み詐欺譚かと思ったが、違った。家族の絆を食い物にする声の残酷さ、底辺の男がグローバル犯罪に挑む逆転劇。シーンが次々と切り替わるダイナミズムが、息を奪う。韓国映画のリアリズムに、国際的な視野を加味した手腕は見事だ。だが、救いのない結末が、観る者の胸に棘を残す。現実の詐欺は、声なき声として続く。丁寧に、しかし鋭く、心に刺さる一編である。
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