主人公は映画おたくでパフォーマーのムース、主演はジョン・トラボルタ
ロスアンゼルスの喧騒の只中で、ひとりの男がいた。名をムースという。バイクを操り、街路を軽やかに駆け巡るパフォーマーである。彼の日常は、埃っぽい風と人々の無関心に塗れていた。
行きつけの店で、ふと耳にするのは、大好きな俳優、ハンター・ダンバーのサイン会のこと。店主の老いた目は、獲物を狙う獣の如く光り、映画のレプリカ・ベストを三百ドルで売りつける。
ムースは得意げにそれを抱え、家路につく。鏡の前に立ち、挨拶の言葉を繰り返す姿は、どこか哀れで、人の心の浅薄さを思わせる。バカげた熱狂の萌芽である。夜半、女友達のリアと待ち合わせ、パーティーの闇に忍び込む。黒人の女優に声をかけ、ダンバーが息子の学芸会を理由に来ていないと聞き、怒りが爆発し、暴れ回って追い出される。人間が己の無知を晒す一幕である。
翌朝、リアがムースの粗末な住処に押しかけ、昨夜のふるまいを叱咤する。
その夜、ハリウッド通りのネオンに照らされ、警官の仮装でパフォーマンスを繰り広げる。仲間トッドが鼻に釘を刺す芸を見せびらかすが、相方がスリを働いているのを目撃し、ムースの胸に冷たい影が差す。友情の仮面の下に潜む闇よ。
そして、アーロンの店で待ちに待ったサイン会。番が来て前に出るや、ハンターは忽然と姿を消す。追えば、別れた妻との会話に過ぎなかった。サインを乞うも断られ、リアに家を尋ねれば、スターマップのアプリで即座に判明する。だが「ストーカーで捕まるなよ」との忠告が、運命の予感を告げる。ムースはファンレターに筆を走らせる。頭のイカれた男の所業である。
次の日、ハンターの邸宅前で待ち伏せ、ランニング中の相手にストーカー扱いされ、シャツに乱暴なサインを刻まれる。泣きながら帰宅し、再びハリウッド通りで芸を披露するが、トイレでトッドらに嘲笑される。惨めさは、人の執着の果てに生まれる毒である。
また次の日、邸宅に忍び込み、女に追い出されるも、手紙をわざと落として去る。リアに語れば「ストーカーだろ」と怒鳴られ、トッドのからかいに首を絞めんばかりとなる。やがて、再びハンターの家に潜入。一方、ハンターは家政婦ドーラからムースの話を聞き、庭師に警戒を命じる。ドーラが手紙を拾おうとして気配に怯え、転倒し、頭を打ちて息絶える。死は、ささやかな誤解から生まれる残酷な業である。
ムースは家に人影なしと見て入り込み、勝手に物を漁り、最後にファミリービデオを眺める。サイコ野郎の片鱗が、そこに露わとなる。人の欲望は、静かに牙を剥く。
見どころは、物語の終盤、25分から狂気の頂点である。ムースがハンターをベッドに縛り付け、ダンバーの出演作のサイコキラーを模倣しようとするが、相手からは罵倒の嵐が浴びせられる。クソみたいなクライマックス、というより、笑いを誘うほどの人間の愚かさの極み。己の幻影に囚われ、崩れ落ちる男の姿は、哀れで、どこか滑稽である。
ジョン・トラボルタの名に惹かれて観たが、これはただのカルト信者の妄想譚に過ぎぬ。トラボルタの面は肥え太り、目は死の色を帯びておった。栄華の果てに訪れる衰えは、人の世の定めか。
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