主人公はスタントン・“スタン”・カーライル、主演はブラットリー・クーパー、監督はギレルモ・デル・トロ
1939年のアメリカを舞台に、野心と欺瞞の渦に飲み込まれる男の運命を、静かに、しかし容赦なく描き出すサイコスリラーである。
主人公スタン・カーライル(ブラッドリー・クーパー)は、放火の過去を背負い、見世物小屋に流れ着く。そこで出会う「獣人」の残酷なショー、コールド・リーディングの術を授かる過程、そして恋人モリー(ルーニー・マーラ)との出会いを通じて、彼は次第に己の才能を信じ、成功への階段を駆け上がる。やがて富裕層を相手にしたサイキック・ショーで名を上げたスタンは、心理学者リリス・リッター(ケイト・ブランシェット)の登場により、最大の試練に直面する。
デル・トロ監督は、原作の暗いノワール精神を忠実に継承しつつ、色彩豊かな美術と照明で幻想的な見世物小屋の世界を構築する。物語は緩やかに螺旋を描きながら、栄光の頂点から奈落へと落ちていく。冒頭の老人と炎のフラッシュバックが繰り返されることで、運命の不可避性が強調され、最後の25分は特に息を呑む展開となる。スタンが再び見世物小屋に戻る結末は、人生の残酷な循環を象徴し、深い余韻を残す。
演技陣の力量は圧倒的だ。クーパーは、野心と脆さの狭間で揺れる男を繊細に体現し、ブランシェットは冷徹で知的な悪役を、静かな迫力で演じきっている。デル・トロらしい怪物的要素は控えめながら、人間の欲望がもたらす怪物性を鋭く抉り出す点で、監督の真骨頂が発揮されている。
一時の栄華は幻想に過ぎず、己の業が自らを貪る――そんな寓話的な悲劇を、丁寧に、しかし容赦なく描いた佳作である。全体として、完成度の高さとテーマの重厚さを併せ持つ、近年稀に見るノワールの傑作と言えよう。
評価:★★★★☆(5段階中4.5)
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