映画

プライムビデオ ダーク・プレイス 2016年公開 112分 ドラマ イギリス・アメリカ ★★★★☆

主人公はリビー・デイ、主演はシャリーズ・セロン

シャーリーズ・セロンが、瘦せこけた表情で佇むポスターを見ただけで、胸にざわめきが起きる。2016年、ギリアン・フリンの小説をジル・ソロウェイが映画化したこの一作。家族殺戮の古傷を抉る、静かなる復讐譚だ。 

1985年、カンザス州の寒村。少女リビー・デイ(セロン)は、右足に銃創を負い、ベッドに座る。母と姉妹が惨殺された夜の記憶は、霧の中。犯人は兄ベンだと決めつけられ、彼は終身刑へ。リビーは一夜の有名人となり、寄付金で暮らす。だが時は28年経ち、残金は尽き、家賃は滞る。転機は、謎の男ライル(ニコラス・ホルト)からの手紙。500ドルで「殺人事件クラブ」参加を誘う。そこは、富裕層の暇つぶし。ベンの冤罪を晴らすため、3週間で証拠を集めよ、と。 

リビーは渋々引き受ける。幼き日の朝食の情景が、フラッシュバックで蘇る。指定の建物で、メンバーに囲まれ質問攻め。事件の夜、悪夢が襲う。ベンの裁判での悪魔崇拝証言、母への差し押さえ、ベッドでの幼い供述。すべてが、骨の髄まで冷たい。ライルに金策を迫り、300ドルでベンと面会。刑務所の兄は、別人めいて痩せ、沈黙を守る。過去が再び:ベンと恋人ディオンドラの情事、母の友からの差し入れ、父ラナーの闇仕事。家族の綻びが、徐々に露わに。 

調査は加速。ライルから事件記録を渡され、リビーは深夜に読みふける。クリシーの母に電話、ルーの行方を探る。過去:母が警察に呼び出され、ベンの少女セクハラ疑惑。家族崩壊の序曲。成長したクリシー(クロエ・グレース・モレッツ)に迫るが、金の無心に終わる。廃墟めいた旧宅で、母の帰宅シーンがよみがえる。夫ラナー(クリストフ・ヴァルツ)がテキサスへ逃げ、金品を巻き上げる。リビーは父を追う。毒物捨て場、廃工場。真相を吐かせよ、と迫るが、「ただじゃ話せぬ」。

見どころは、ラスト25分。ディオンドラ(ロザムンド・パイク)に会うリビー。突然、兄の娘クリスタルが現れ、血の繋がりが炸裂。ライルからの電話で、全貌が明らかになる。過去と現在が交錯する構成は、迷宮めいて混乱を招くが、そこに真骨頂あり。28年の時が、家族の嘘を腐食させる。セロンの演技は、静かなる絶望を体現。無駄な叫びなく、ただ視線で語る。パイクの妖艶な悪女像も、鮮烈。だが、脚本の絡みは時に煩雑。娯楽として完璧とはいかぬが、心の闇を抉る力は本物だ。 

この映画は、血縁の呪縛を問う。リビーの旅は、贖罪か、復讐か。観終え、自身の影に怯える夜となるだろう。静かに、しかし鋭く、胸を刺す一作。勧めたい。

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