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プライムビデオ コースト・ガード 2005年公開 95分 ドラマ ★★★☆☆

主人公は南北軍事境界線の海岸にある基地の海兵隊員カン、主演はチャン・ドンゴン

 南北軍事境界線、鉄条網の向こうに敵影を睨む海兵隊基地。そこで、チャン・ドンゴンが演じるカンという男が、苛立ちを銃に託して日々を過ごす。95分のドラマ、韓国映画の端くれだ。監督キム・ヨンファの筆致は、静かな緊張を好むが、時折、唐突に爆発する。軍事の日常が、人の心の隙間を抉る、そんな一品。

物語は淡々と始まる。カンたち兵士は、作戦準備に集合し、鉄条網沿いを警戒前進する。一方、漁港では漁師どもが酒と賭けに興じ、カンがそこに現れて当たり散らす。喧嘩寸前、いつもの苛立ちだ。翌朝、サッカーボールが駐屯地外へ転がり、カンは隠密行動で取り戻す。消灯の夜、皆で歌い就寝するが、平穏は束の間。深夜、アベックが基地に侵入。カンは射撃を放ち、逃げる男を手榴弾で爆破してしまう。残された女性ミヨンを見つけ、カンが「俺が捕まえた」と自慢げに語るが、村の若者だと知り、死体を前に動転する。 

翌日、MPの事情聴取。殺した男の母親から罵倒され、若者から殴られるカン。だが、あくる日、不審者への適切対処と忠実な任務遂行を讃えられ、表彰。1週間の休暇が与えられる。基地を出たカンは故郷へ。友や彼女と酒を酌み交わすが、突然怒鳴り散らし、彼女は去る。基地復帰後、飛び出したボールを取りに行けば、頭のイカれたミヨンが絡みつく。電話の出ない大学生の彼女に会い、無視され、村に戻ったカンは若者たちにボコボコだ。 

夜間歩哨のカンは、銃を握り村へ。オートバイを奪う異常行動の果て、直ちに除隊。基地を後にし、バスに揺られるカン。次に映るのは、鉄条網をくぐる若い女たち。写真を撮って上官に叱られる。ミヨンは次第に兵士に身を投げ出す。軍の日常は、人の狂気を育む。 

見どころはラスト22分過ぎ。カンは密かに基地へ戻り、兵士の服を盗み、夜間監視中の銃や装備を奪う。出没する影は、かつての守護者から、侵入者へ。チャン・ドンゴンの眼差しが、静かに燃える。基地の闇が、男の心の闇を映す鏡だ。

この映画は、教えてくれる。国境警備など、普通の神経では務まらない。鉄条網の向こうに、己の影を見るのだから。カンの苛立ちは、軍の規律が産む産物。休暇の酒が、抑圧を解き放つ。ミヨンの狂気は、爆破の残骸。誰もが、境界線で少しずつ壊れる。荻的に言えば、軍隊は心の砂漠。そこに立つ男は、砂嵐に耐えるか、飲み込まれるか。韓国映画の渋さは、こんなところで光る。娯楽には遠いが、胸に刺さる一本。軍服の下の人間臭さを、丁寧に嗅がせてくれる。次は、もっと穏やかな海岸を望む。

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