主人公は怪盗ダン、主演はアンディ・ラウ、ジャン・レノ、スー・チー
人とは何か。斯くも大胆不敵に生きる者たちが、時代を超えて物語を紡ぐ。香港映画『グレート・アドベンチャー』(2018年)は、怪盗ダン(アンディ・ラウ)を中心とする一党の、絢爛たる盗みの舞台を活写する。
ルーブル美術館の首飾り盗難に始まり、フランスの監獄、カンヌのオークション会場、チェコの古城と、舞台は転々とするが、その背後には人間の欲と義、裏切りと絆が交錯する。
物語は、ダンなる怪盗が、かつての失態から五年を経てフレンヌ刑務所を出所する場面から始まる。迎えを申し出たフランスの刑事ピエール(ジャン・レノ)の手を、ダンは無言で振り払う。この一瞬に、ダンの孤高と、ピエールとの間に横たわる宿命めいた対立が垣間見える。
やがて、カンヌのオークション会場で「命の翼」と呼ばれる首飾りを巡り、ダンの一党は華麗に動き出す。変装の達人ポー、敏捷なレッド、そしてダン自身の知略が、まるで戦国時代の謀将のごとく、緻密に絡み合う。
この映画の見どころは、終盤二十五分、チェコの古城での「魂の泉」盗難劇に集約される。ダン一党の鮮やかな手並みは、まるで室町の忍びが城壁を越えるが如く、観る者を魅了する。しかし、事はそう簡単には運ばぬ。裏切り者のコングが待ち構え、かつての婚約者アンバー(スー・チー)を人質に「魂の泉」を奪う。さらにはピエール刑事の執念が、ダンたちを追い詰める。
アクションの連続は、香港映画の華やかさそのものだが、そこには人間の業が色濃く映る。アンディ・ラウの鋭い眼光、スー・チーの憂いを帯びた微笑みは、まるで戦乱の世を生きる剣客と姫君のようだ。司馬遼太郎ならば、こう評するかもしれない。
この物語は、人が欲に駆られ、なお義を求める姿を描く。ダンの行動は、戦国の梟雄が天下を盗むが如く大胆だが、その心中には、かつて愛したアンバーへの未練が宿る。ピエールの執念もまた、職務を超えた一人の男の意地である。
映画は、アクションの派手さに隠れて、こうした人間の機微をそっと差し出す。香港映画の伝統は、斯くも鮮やかに、人の心の動きを映し出すものなのだ。
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