主人公はコラ/アースレイアス、主演はソフィア・ブテラ、監督はザック・スナイダー
広大な宇宙を舞台にした壮大なスペースオペラである。Netflixで配信されたこの作品は、黒澤明の『七人の侍』を思わせる骨格を持ちながら、SF的な視覚効果を駆使して独自の世界を構築している。主演のソフィア・ブテラが演じる主人公コラは、かつて帝国の兵士として戦った過去を抱え、辺境の月ヴェルトで静かに暮らしていた。
物語は、残虐な帝国マザーワールドの軍勢がヴェルトに食料を要求しに来襲するところから始まる。提督アティカス・ノーブル（エド・スクライン）の冷酷な命令により、村は危機に陥る。コラは村人を守るため、単身で兵士たちに立ち向かい、意外な援護を得て生き延びる。そこで彼女は、村の農夫ガンナー（ミヒウ・ハウスマン）と旅立ち、帝国に抗う戦士たちを集める決意をする。コラの過去——摂政バリサリウスに養女として育てられ、忠実な兵士となったが、王族の暗殺を守れなかった罪悪感——が徐々に明かされ、彼女の行動に深みを加える。
旅の途中で出会う戦士たちは、それぞれ魅力的な個性を持つ。雇ったパイロットのカイ（チャーリー・ハナム）、動物と心を通わせるタラク（スタズ・ネア）、剣の達人ネメシス（ペ・ドゥナ）、そして堕ちた将軍タイタス（ジャイモン・フンスー）。さらに、反乱者のブラッドアックス姉弟や、声優アンソニー・ホプキンスが演じるロボット兵ジミーも印象的だ。彼らの募集過程は、惑星を渡る冒険として描かれ、視覚的に美しいシーンが続く。
見どころは、やはり後半の激しいアクションだ。カイの裏切りから始まる戦闘は、スナイダーらしいスローモーションを交えた迫力満点の展開で、観る者を引き込む。ストーリーは分かりやすく、古典的な英雄譚を現代的に再構築した新鮮さがある。美しい惑星の風景、ダイナミックな戦闘、個性豊かなヒーローたちの登場は、まさに新しいスペースオペラの誕生を感じさせる。
ソフィア・ブテラのコラは、凛とした強さと内面的な脆さを併せ持ち、実に魅力的だ。全体として、視覚の饗宴と心を揺さぶるドラマが融合した作品で、続編への期待が高まる。シリーズ化を望みたい、力作である。
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