主人公は世界一の名探偵ブノワ・ブラン、主演はダニエル・クレイグ、監督はライアン・ジョンソン
ライアン・ジョンソン監督が、米国北部の寂れたカトリック教会を舞台に、再び名探偵ブノワ・ブラン(ダニエル・クレイグ)を活躍させる。
物語は、元ボクサーで実直な若き神父ジュド・デュプレンティシー(ジョシュ・オコナー)が、過去の過ちから辺鄙な教区へ左遷されるところから始まる。そこでは、威圧的なモンシニョール・ジェファーソン・ウィックス(ジョシュ・ブローリン)が信徒を支配。グッドフライデーの礼拝中、ウィックスが背中を刺され死亡。凶器は狼の頭を模した赤い刃物。密室のような状況下で起きた不可能犯罪に、地元警察署長(ミラ・クニス)がブランを招聘。容疑者視されるジュド神父は、捜査に協力し、手紙で事件を振り返る。ブランは解剖や聞き取りを通じ、教会の血縁、隠された財産、信仰の歪みを暴いていく。
見どころは、ラスト32分からの急展開。ブランが礼拝堂に後継者らを集め、謎が解けないと宣言した途端、事態が一変。シリーズおなじみの鮮やかな伏線回収が冴える。
豪華キャストは健在。グレン・クローズ、ジェレミー・レナー、アンドリュー・スコットらが、閉鎖的な教会内で互いの野心と秘密をぶつけ合う。意外だったのは、司祭より教会の世話人マーサの方が信仰心篤い点。権力の腐敗と真の慈悲を描くテーマが、ミステリーに深みを加える。
クレイグのブランは、飄々とした中にも静かな正義を宿し、ますます魅力的。ジョンソンの脚本は、ユーモアとサスペンスのバランスが絶妙。やや陰鬱な前半も、後半の爽快感で昇華される。ミステリーの醍醐味を堪能できる秀作だ。
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