主人公は傭兵のタイラー・レイク、主演はクリス・ヘムズワース、監督はサム・ハーグレィヴ
前作『タイラー・レイク -命の奪還-』(2020年、116分)で、傭兵タイラー・レイクはバングラデシュのダッカで麻薬王の息子オヴィを救出する任務に挑み、壮絶な銃撃と追跡の末に瀕死の重傷を負い、橋から転落して「死んだ」かに見えた。あの終わり方が、観客の心に深い余韻を残したものだ。続編はその直後から始まり、タイラーを奇跡的に蘇生させ、オーストリアのコテージで静かな引退生活を送る姿を描く。そこへ新たな依頼が舞い込む──元妻ミアの妹ケトとその子供たちを、ジョージアのカチリ刑務所から救出せよ。相手は犯罪組織ナガジのボス、ズラブ。弟を失った復讐の炎が、タイラーたちを地獄のような追跡劇に引きずり込む。
前作との最大の違いは、タイラーの「内面的成長」にある。前作では、息子を失った過去のトラウマが彼を自滅的な傭兵に追い込み、ストーリーは主に外部のアクションに依存していた。白人救世主的なプロットが批判されたように、感情の深掘りが浅く、ただの「一人称シューターゲーム」めいた暴力の連発に終始した感があった。一方、本作はリハビリシーンからタイラーの脆弱性を丁寧に描き、過去の罪悪感を「守るべき家族」というテーマで昇華させる。サンドロ少年との対峙は、前作のオヴィとの関係を思わせつつ、より複雑な親子愛の葛藤を加え、単なるアクションの合間に心を揺さぶる。批評家もこれを指摘し、Rotten Tomatoesで前作67%に対し本作80%と評価を上げ、帝国誌は「前作のスケールを上回る感情の深み」と絶賛している。
アクション面でも進化が顕著だ。前作のハイライトはダッカの街中を駆け抜ける約20分のワンカット・チェイスだったが、本作はその遺産を活かし、刑務所脱獄から森の爆破カーチェイス、列車上でのヘリ撃墜、終盤25分の飛行場強襲まで、連続した「クアシ・オナー」で繋ぐ。123分の短い尺にこれだけの密度を詰め込み、監督サム・ハーグレィヴのスタント経験が光る。ヘムズワースの肉体は前作以上に洗練され、グレネードランチャーを回転させながらの突入は息を呑む。Roger Ebert誌は「前作のビデオゲーム性を超え、グラフィックノベル的な深刻さを加えた」と評し、Varietyも「より満足感のある続編」と認める。一方で、静かなドラマ部分は前作同様に薄く、プロットの穴(例: サンドロの裏切り)が目立つ点は変わらず、アクションの合間の「息抜き」が物足りない。
全体として、本作は前作の「破壊的なカタルシス」を継承しつつ、キャラクターのレイヤーを増やした進化形。Netflixのストリーミング・ブロックバスターとして、前作のヒット(視聴者数で7位)を上回る視聴記録を樹立したのも納得だ。クリス・ヘムズワースの「悲しきアクションヒーロー」像は、ジョン・ウィックやジェイソン・ボーンに並ぶ存在感を放つ。自分は三年前の手術の痛みに苛まれているのに、タイラーのような復活劇に羨望を抱かずにはいられない(笑)。続編の噂が本当なら、次はタイラーの「なぜ戦うのか」がさらに掘り下げられるはず。痛む腰をさすりながら、早く三作目を待ちわびる、ただのアクション映画好きの戯言である。
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