主人公は殺し屋のギル・ボクスン、主演は チョン・ドヨン、監督はビョン・ソンヒョン
韓国ノワールの新風を感じさせる、スタイリッシュで骨太なクライム・アクションである。伝説の殺し屋でありながら、15歳の娘を一人で育てるシングルマザーという二重生活を送るギル・ボクスン(チョン・ドヨン)。暗殺業界トップ企業MKの看板エースとして完璧な仕事ぶりを見せる彼女だが、娘の進路を巡る些細な嘘がきっかけで、組織との関係に亀裂が生じる。ある“自殺に見せかけた殺人”の指令を拒否した瞬間、彼女は標的にされてしまう。
見事なのは、アクションの切れ味と同時に、母親としてのリアルな苦悩が並走している点だ。銃撃戦や白兵戦の合間に挿入される、娘とのぎこちない会話や学校への電話のやりとりは、どんな敵よりも手強い“日常”を痛感させる。特に「殺しより子育ての方が難しい」というセリフには、思わず頷いてしまった。チョン・ドヨンの抑制された演技が、冷徹なプロフェッショナルと、娘の前ではただの不器用な母親という両極を違和感なく繋いでいる。
そして圧巻は、クライマックスのラスト22分。チョ代表(キム・シア)が待つ部屋へ向かうボクスンの長い廊下のシーンだ。彼女が歩きながら頭の中で無数の戦闘シナリオを高速でシミュレートし、それが次々と画面にフラッシュする演出は、まるで脳内チェス盤を覗いているようで鳥肌が立った。現実の戦闘が始まってからも、その予測と実際のズレが絶妙に絡み合い、観客を最後まで息つく暇もなく引きずり込む。アクション映画でありながら、頭脳戦の緊張感も味わえる稀有な一作だ。
派手さは控えめだが、確実に心に残る。子育て真っ最中の親ならなおさら刺さるだろう。韓国映画らしい鋭い人間観察と、容赦ないバイオレンスが融合した、2025年屈指の快作である。見逃し厳禁。
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