映画

ディズニープラス エイリアンロムルス 2024年公開 119分 SF ★★★★★:

主人公は鉱員のレイン・キャラダイン、主演はケイリー・スピニー

二十世紀フォックスの古典が、ディズニーの巣窟に迷い込んだかと思いきや、意外に鮮やかだ。

監督フィデル・アルヴァレスは、シリーズの暗黒史を丁寧に掘り返し、若い血潮を注ぎ込む。

舞台は未来の鉱山コロニー、二十世紀の廃墟めいた宇宙船。主人公レイン(カイラ・ハスケル)は、姉の面影を宿した少女。仲間たちと共に、禁断のロムルス号へ忍び込む。目的は単純、酸素と自由。だが、そこに潜むのは、ウェイランド=ユタニの亡霊――ゼノモーフの卵だ。 

前半は、息を潜めた緊張の序曲。暗闇の通路を這う照明の揺らめき、金属の軋む音が、耳朶を刺す。リドリー・スコットの1979年作を思わせるレトロなセットは、現代のCGIに頼らず、触感を呼び起こす。英雄不在の若者たち――愚直な兄貴分、臆病なハッカー、生意気な妹――が、互いの影を踏みしめ進む姿は、哀れで愛おしい。監督は、無駄な説明を排し、沈黙で恐怖を育てる。顔抱き虫の孵化シーンなど、吐き気を催すほどの生々しさ。だが、ここに荻の好む「人間の浅薄さ」が光る。欲に駆られた一瞬の油断が、すべてを崩壊させるのだ。 

中盤以降、狂気の加速。エイリアンのデザインは、H・R・ギーガーの遺産を忠実に継ぎ、尾の鞭打つ残虐を増幅。チェストバスターの脱出は、肉体の裏切りを象徴し、観客の胃袋を抉る。アクションは派手だが、無秩序ではない。閉鎖空間の利を活かし、逃げ場なき追跡劇を展開。血しぶきの飛沫が、スクリーンを汚すたび、シリーズのエッセンス――孤立と絶望――が蘇る。欠点か? 終盤の企業陰謀は、馴染みの陳腐さ。だが、それすらも、資本の貪欲を風刺する鏡として機能する。 

総じて、フランチャイズの蘇生に成功した一作。ディズニーの陽光が、かえって闇を濃くする逆説。視聴後、心に残るのは、静かな余韻。人間は、星の彼方でなお、獣の餌食。九十分のジェットコースターは、原点回帰の勝利宣言だ。シリーズの未来を照らす、微かな希望の卵。――否、恐らくまた、毒牙の巣窟か。

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