あらすじは、主人公はアメリカ合衆国の理論物理学者ロバート・オッペンハイマー、原爆の父とも言われている。最初のシーンは第2次世界大戦後のアメリカで行われたレッド・パージ（赤狩り）の聴聞会での追及の場面から始まる。と同時に彼の回想シーンを逐次織り込み、彼の生涯が次第に明らかになっていく。特に原爆開発、小型の核実験のシーンは見事といえる。戦中・戦後、原子力の国際的管理を提言し、他の科学者や政府と対立した経緯も明らかになる。また、原爆開発と日本への投下、その被害、水爆開発などに苦悩する主役を演じたキリアン・マーフィ、対立するロバート・ダウニーJrの演技が素晴らしい。対立の結果は1949年査問会の上に公職追放となるが、プリンストン高等研究所所長として1966年死去するまで研究を続けた。2022年に公職追放がようやく取り消しされている。